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第164通常国会医療制度改悪反対共同ニュース2006年6月13日 bQ8/発行・中央社会保障推進協議会
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医療改革法案 委員長職権で採決強行
参議院厚生労働委員会は、本日(6月13日)17時30分、予定された質疑終了直後、山下委員長が質疑終局を宣言、採決を提案。「終局に反対」の声が上がる中、討論に移り、自民・公明両党の賛成多数で、医療改革関連法案は可決された。
討論では、自民党の中村議員が賛成討論、民主党の円議員、共産党の小池議員、社民党の福島議員がそれぞれ反対討論を行った。反対討論のなかで、「与党推薦の参考人、公述人までが懸念を表明し、その問題点が何一つ解明されないまま採決することは国民への裏切り」「会議の運営は全体の合意でなされるべきであり、このような形での採決は議会制民主主義の自殺行為」だとして、野党議員はこぞって採決そのものに反対を表明した。
このあと、自民・民主・公明の共同提案として、津田議員が21項目にわたる付帯決議を提案。共産党を除く各党の賛成で可決された。
この日は約70名が委員会傍聴にはいり、審議を見守った。また中央社保協は、委員会終了後、参議院議員面会所で抗議集会を実施。約60名が参加して、委員会採決の強行に抗議の声を上げた。
明日は、午前10時より参議院本会議が開催される。
6月13日、参院厚労委員会定例日審議の模様
6月13日の一般質疑は野党のみ。概要は以下のとおり。
医療専門職の充実もとめる
◇民主党・下田敦子議員
下田議員は、医師や看護師だけでなく、理学療法士や作業療法士の数も他国に比べ少ない実態を示し、今後地域医療を支えるためにも、各専門職の充実が必要と訴えた。また、混合診療の問題で、アメリカ政府から日本政府への日本の市場開放に関する要望書の内容を紹介しながら、血液製剤の輸入実態を問い、医薬品や医療機器の規制改革について国民に納得が得られるような情報開示を求めた。
医療事故の全国的実態調査を求める
◇民主党・森ゆうこ議員
医師不足の問題で、地域枠の導入や医学部定員増についての対策状況を馳文部科学副大臣に問い、具体的な解決策を求めた。また、医療事故対策なくしては、医師不足も解決しないという観点から、医療事故の定義を定める必要性を訴え、医療事故の原因など全国的な実態調査を求めた。併せて、医療事故を受けた患者・家族への救済制度の確立や、自動車の自賠責保険のような、強制加入の保険制度の創設を提起した。
医師・歯科医師の需給問題、歯科の膨大な文書提供問題を追及
◇民主党・櫻井充議員
櫻井議員は、まず医療費について、2025年の医療費を42兆円にとどめるとしているが、これは財政事情から出てきている数値であり、適切な医療は提供できないと指摘。財政における医療費と公共事業費の割合などを見直す必要があるとした。
次に医師の需給問題を取り上げ、政府は平成29年には医師が過剰になるとしているが、この予測の中には手術や検査、当直にあたっている医師はカウントされていない。医師数が低く見積もられており、これでは今の医師不足問題の解決にならない。一方で歯科医師は大幅な過剰となっているが、この問題も放置されているとした。
最後に今次改定で歯科に膨大な文書提供が義務づけられたことを問題視。私のアンケートでは1日に94分も文書作成に費やしている。患者さんからも診療時間が短くなったとのクレームが出ているとの指摘に、厚労省の水田保険局長は、通達で文書作成は簡素化した。中医協の検証部会でこの秋から、問題点の検証を行いたいと述べた。
終末期医療医のあり方について質す
◇民主党・島田智哉子議員
思春期の子どもの心の問題、特に青少年の自殺問題について取り上げた。
また、高額介護・療養費合算制度について質問。一人っ子同士の結婚も増えており夫の老親、妻の老親とも同居という事例もあるとして、制度を超えた合算はできないのかと質した。
高齢者の負担増は看過できない、と追及
◇民主党・足立信也議員
足立議員は、2次医療圏毎に診療に従事する医師数の分布を示す医療をもとに、医師不足への対応を追及。370医療圏のうちOECD平均を超えているのは46医療圏にすぎず、それも東京など一部の都道府県に集中していることを示し、都道府県ごとの調整では解決できないと迫った。また、医療圏毎など、現場の状況を反映するようなデータが、特別に計算してもらわないと分からない状況を問題視、常勤・非常勤、病院・診療所別など、より実態を把握できるデータを整備するよう求めた。
また足立議員は高齢者の負担増は看過できない問題だとして、日銀の調査で、貯蓄の非保有世帯が増え保有世帯の割合と逆転していること、収入1千万以下のすべての所得階層で非保有世帯が増加していることを示し、高齢者は貯蓄を取り崩しながら現在の生活を維持しているのが現状であり、負担増はすべきでないと質しました。また後期高齢者の別立て診療報酬についても、医師の立場から一人ひとりの患者に応じたテーラーメイドメディシンを理想としてきたが、それと「高齢者にふさわしい診療報酬体系」と人くくりにしてしまうことは矛盾するのではないかと追及した。
広域連合設置の義務規定は地方自治にもとる
◇民主党・朝日俊弘議員
朝日議員は、主に後期高齢者医療制度の運営主体となる、広域連合のあり方について質問。地方自治法が規定する広域連合は、市長村がその必要性を認めて、市町村の発意で作ることができるとされているものであり、今回の法案にあるような「広域連合を設けるものとする」という義務規定はなじまないのではないかと追及した。これに対し、総務省自治行政局長は、地方自治法の規定を繰り返しつつ、今回については厚労省が決めたこととの答弁に終始した。
このほか朝日議員は、「社会的入院」を解消するにしても、なぜそうなっているのか要因を分析し、要因に応じた具体策が必要であるとして、一例として高齢者向けの住宅整備などを求めたほか、認知症患者の療養病床廃止、療養病床の病床転換助成の財源問題などを質問した。
参酌標準の見直しをせまる
◇共産党・小池晃議員
小池議員は、療養病床を大幅削減して老健施設への転換を促しているが、実際は老健施設数が参酌標準の上限までいっている自治体が多く、地域に混乱が起きているとして、参酌標準の見直しを求めた。しかし老健局長は、法案が出る前に決めた3カ年計画は、療養病床からの転換は見込んでおらず、その前提で保険料を設定しているとして、途中で見直す考えのない事を表明。これに対し小池議員は「それであればこのような法案を出すこと自体が無責任だ」とし、あまりにも硬直した当局の考えを批判した。
また小池議員は、80年ぶりに改定となる現金給付について質問。埋葬料引き下げの財政影響が321億円であるとの答弁を引き出した上で、出産手当金を改善したというが、一方で給付の大幅削減をしていることは十分説明な説明がないと追及。またこれまで任意加入の被保険者を特に区別してこなかったにもかかわらず、何の説明もなく出産手当金・傷病手当金の給付を外したことについても、国民の納得は得られないと質した。
このほか、がん対策に関連して、がん検診の一般財源化を見直すことや、特定健診・保健事業の達成率と高齢者医療制度支援金の額を連動させる問題などを取り上げた。
7月実施の診療報酬改定は療養病床削減が目的と追及
◇社民党・福島瑞穂議員
福島議員は、「7月1日から実施される療養病床の入院基本料引き下げなどの診療報酬改定は、法案に盛り込まれている療養病床大幅削減のためのものか」と質問。水田保険局長は、医療の必要度など入所者の特性に合わせた体系にするためと答弁したものの、同議員の指摘を否定するには至らなかった。
福島議員は、昨日の北海道での地方公聴会で出された「吹雪の中に裸で掘り出されるような仕打ち」という意見を紹介しながら、「この叫びをどう受け止めるのか」と大臣を追及。川崎厚労大臣は、根拠も示さずに「追い出しなどの事態が起こらないように務めたい」と繰り返すのみであった。
福島議員は、介護保険での食費・居住費の利用者負担による全国調査の実施を改めて求めたことに対して、川崎大臣は「全国の都道府県から調査結果の報告を求めている」と答弁、結果がまとまれば報告するとの姿勢を示した。さらに同議員は、自立支援法の施行による影響調査の全国実施を求めた。
以 上
【添付ファイル】 医療制度改悪反対共同ニュースNo.28 |
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