1、平均賃金について
(1)正職員の平均賃金について
1) 「正職員の平均賃金」の平均(単純平均)は、基本給で292,965円(前年比−343円)、所定内で338,125円(同+14,984円)となりました。所定内がかなり上がっていますが、報告組合の異同の影響が大きく出たためです。
2) 2002年度、2003年度のどちらも報告があった組合に限って比較する(以下、「同一組合前年比」と言う)と、基本給でプラス572円、所定内でマイナス1,708円となります。
(2)医師除く正職員の平均賃金について
1) 「医師を除く正職員の平均賃金」の平均(単純平均)は、基本給で275,021円(前年比+1,508円)、所定内で293,518円(同+5,111円)となりました。
2) 同一組合前年比では、基本給でプラス515円、所定内でプラス514円となります。
産別平均 |
正 職 員 |
医師除く正職員 |
基本給 |
所定内 |
年齢 |
勤続 |
基本給 |
所定内 |
年齢 |
勤続 |
2003年度 |
292,965 |
338,125 |
38.4 |
11.1 |
275,021 |
293,518 |
38.4 |
9.7 |
前年比 |
-343 |
+14,984 |
-0.6 |
0.0 |
+1,508 |
+5,111 |
-0.1 |
+0.1 |
2002年度 |
293,308 |
323,141 |
39.0 |
11.1 |
273,513 |
288,407 |
38.5 |
9.6 |
2001年度 |
292,510 |
327,248 |
38.0 |
10.9 |
269,641 |
285,687 |
38.5 |
9.8 |
2000年度 |
291,599 |
328,318 |
37.6 |
10.3 |
266,979 |
292,887 |
37.3 |
10.6 |
1999年度 |
286,591 |
323,376 |
38.3 |
10.3 |
262,852 |
280,074 |
38.5 |
9.6 |
1998年度 |
282,658 |
307,803 |
36.6 |
10.1 |
251,252 |
280,737 |
37.6 |
10.1 |
1997年度 |
278,292 |
316,451 |
37.7 |
9.1 |
248,531 |
275,082 |
38.0 |
9.8 |
1996年度 |
272,987 |
301,711 |
37.6 |
9.5 |
242,499 |
261,041 |
38.2 |
9.8 |
同一組合前年比 |
正 職 員 |
医師除く正職員 |
基 本 給 |
所 定 内 |
基 本 給 |
所 定 内 |
2003年度 |
+572 |
-1,708 |
+515 |
+514 |
2002年度 |
+2,308 |
+3,434 |
+1,181 |
+2,061 |
2001年度 |
+854 |
+795 |
+2,850 |
+2,349 |
2、モデルポイント賃金について
(1)各職種のモデルポイント賃金について
1) 各職種のモデルポイント賃金の平均は、前年比では18職種のうち、介護福祉士初任給、保育士35歳、労務35歳と50歳、ヘルパー・助手35歳の5ポイントを除いて、他はすべてマイナスとなりました。
2) 同一組合前年比ではマイナス幅は小さくなっていますが、プラスとなったのは初任給で5職種(看護師、高卒事務、准看護師、検査技師、大卒事務)、35歳で2職種(介護福祉士、労務)に止まりました。50歳では全職種がマイナスとなり、マイナス幅も大きくなっています。
3) 地場民間組合の多くがベアゼロに押さえ込まれ、公務・準拠組合が2年連続ベースダウンとなった下で、産別全体の賃金水準は若干低下したものと見られます。
産別平均 |
初任給 |
35歳 |
50歳 |
看護師 |
198,517 |
292,209 |
381,052 |
前年比 |
-1,053 |
-1,418 |
-2,384 |
98年比 |
+1,554 |
+4,749 |
+5,727 |
高卒事務 |
158,084 |
263,661 |
344,822 |
前年比 |
-646 |
-941 |
-2,294 |
98年比 |
+460 |
+1,627 |
+1,650 |
医師 |
312,818 |
516,953 |
706,093 |
前年比 |
-2,285 |
-1,760 |
-2,628 |
薬剤師 |
199,002 |
292,530 |
386,714 |
前年比 |
-708 |
-2,047 |
-3,096 |
准看護師 |
171,579 |
273,252 |
353,680 |
前年比 |
-1,530 |
-232 |
-1,904 |
放射線技師 |
187,983 |
284,341 |
376,572 |
前年比 |
-1,074 |
-2,162 |
-2,725 |
検査技師 |
186,435 |
283,394 |
374,200 |
前年比 |
-866 |
-578 |
-3,146 |
栄養士 |
174,389 |
271,971 |
360,012 |
前年比 |
-509 |
-239 |
-2,807 |
調理師 |
160,470 |
256,850 |
332,678 |
前年比 |
-1,986 |
-936 |
-1,975 |
大卒事務 |
183,308 |
271,649 |
358,144 |
前年比 |
-1,398 |
-2,326 |
-2,617 |
理学療法士 |
189,160 |
286,352 |
374,247 |
前年比 |
-2,721 |
-3,414 |
-4,206 |
作業療法士 |
189,958 |
287,268 |
374,131 |
前年比 |
-2,975 |
-3,418 |
-3,936 |
介護福祉士 |
166,333 |
251,179 |
325,521 |
前年比 |
+632 |
-727 |
-5,233 |
保育士 |
174,942 |
271,558 |
351,111 |
前年比 |
-1,113 |
+184 |
-1,642 |
歯科技工士 |
175,443 |
277,350 |
363,315 |
前年比 |
-2,892 |
-2,180 |
-3,469 |
歯科衛生士 |
173,405 |
275,521 |
361,905 |
前年比 |
-4,420 |
-2,624 |
-1,929 |
労務 |
150,160 |
244,343 |
312,825 |
前年比 |
-1,562 |
+2,579 |
+753 |
ヘルパー・助手 |
156,379 |
244,584 |
309,080 |
前年比 |
-136 |
+113 |
-2,881 |
同一組合前年比 |
初任給 |
35歳 |
50歳 |
看護師・前年比 |
+36 |
-475 |
-1,404 |
98年比 |
+3,185 |
+3,613 |
+2,129 |
高卒事務・前年比 |
+150 |
-214 |
-1,503 |
98年比 |
+2,321 |
+3,162 |
+221 |
医師・前年比 |
-5,357 |
-7,765 |
-7,633 |
薬剤師・前年比 |
-26 |
-930 |
-1,687 |
准看護師・前年比 |
+220 |
-516 |
-1,419 |
放射線技師・前年比 |
-69 |
-1,165 |
-1,199 |
検査技師・前年比 |
+60 |
-422 |
-1,434 |
栄養士・前年比 |
-45 |
-577 |
-1,260 |
調理師・前年比 |
-546 |
-1,691 |
-1,821 |
大卒事務・前年比 |
+49 |
-426 |
-1,208 |
理学療法士・前年比 |
-404 |
-1,591 |
-1,556 |
作業療法士・前年比 |
-335 |
-1,443 |
-1,385 |
介護福祉士・前年比 |
-173 |
+66 |
-681 |
保育士・前年比 |
-127 |
-868 |
-770 |
歯科技工士・前年比 |
-172 |
-652 |
-908 |
歯科衛生士・前年比 |
-137 |
-1,507 |
-2,229 |
労務・前年比 |
-432 |
+970 |
-1,626 |
ヘルパー助手・前年比 |
-176 |
-661 |
-968 |
(2)看護師と高卒事務のモデルポイント賃金について
1) 産別ポイント賃金要求を設定している看護師と高卒事務に関しては、前年比だけでなく、5年前との比較(98年比)をおこないましたが、わずかな上昇に止まっています。
看護師の98年比は、初任給でプラス1,554円(同一組合98年比は+3,185円)、35歳でプラス4,749円(同+3,613円)、50歳でプラス5,727円(同+2,129円)となります。
高卒事務の98年比は、初任給でプラス460円(同一組合98年比は+2,321円)、35歳でプラス1,627円(同+3,162円)、50歳でプラス1,650円(同+221円)という結果です。
2) 看護師・高卒事務に関して、さらに詳細な経年変化を見るため、「看護師と高卒事務のモデルポイント賃金の推移」を作成しました。
看護師については、地場組合の初任給平均が2年連続で民間全国組合を上回りました(ただし、全医労・民間全国組合は調整手当除く)。50歳では1999年に全医労を上回っており、35歳でもマイナス1,749円まで格差が縮小しています。
高卒事務に関しては、地場組合の初任給が全医労・民間全国組合より2万円程度上回っており、35歳・50歳でも格差が縮小してきています(全医労比で35歳−3,015円、50歳−13,253円)。
3) 産別ポイント賃金要求額に到達している組合は、看護師初任給で17.7%となっている以外は、数%に止まっています。
3、企業内最低賃金協定について
1) 企業内最低賃金協定の金額平均は、月額で見ると、看護師199,933円(前年比+1,038円)、准看護師171,840円(同−1,805円)、誰でも157,889円(同−585円)となります。
2) 前年とかなり変動が出ていますが、これも報告組合の異同がかなり影響しているためです。
産別平均 |
看 護 師 |
准 看 護 師 |
誰 で も |
月額 |
日額 |
時間 |
月額 |
日額 |
時間 |
月額 |
日額 |
時間 |
2003年 |
199,933 |
8,758 |
1,215 |
171,840 |
7,739 |
1,120 |
157,889 |
6,683 |
890 |
前年比 |
+1,038 |
+82 |
+16 |
-1,805 |
+22 |
+41 |
-585 |
+85 |
-1 |
2002年 |
198,895 |
8,676 |
1,199 |
173,645 |
7,717 |
1,079 |
158,474 |
6,598 |
891 |
2001年 |
196,169 |
8,516 |
1,179 |
173,142 |
7,689 |
1,060 |
151,590 |
6,367 |
869 |
2000年 |
196,309 |
8,452 |
1,178 |
172,616 |
7,545 |
1,047 |
151,976 |
6,319 |
866 |
1999年 |
193,836 |
8,279 |
1,176 |
168,463 |
7,243 |
1,027 |
148,555 |
6,337 |
863 |
1998年 |
193,024 |
8,382 |
1,167 |
167,735 |
7,363 |
1,028 |
148,246 |
6,120 |
984 |
1997年 |
188,534 |
8,119 |
1,129 |
164,083 |
7,233 |
999 |
148,058 |
6,154 |
835 |
1996年 |
181,953 |
7,710 |
1,078 |
155,181 |
6,616 |
928 |
141,945 |
6,968 |
855 |
4、パートの賃金について
1) パートの賃金(最低額)の平均は、看護師1,258円(前年比−13円)、准看護師1,123円(同−1円)、事務部門877円(同+3円)、給食部門888円(同−13円)となっています。
2) 報告組合の異同の影響が一定ありますが、パートの賃金はほとんど変わっていないと言えます。
産別平均 |
看護師 |
准看護師 |
事務部門 |
給食部門 |
2003年 |
1,258 |
1,123 |
877 |
888 |
前年比 |
-13 |
-1 |
+4 |
-13 |
2002年 |
1,271 |
1,124 |
873 |
901 |
2001年 |
1,269 |
1,129 |
891 |
900 |
2000年 |
1,243 |
1,109 |
875 |
903 |
5、賃金等の改悪の動きについて
1) 退職金の切り下げ提案については、「提案されていない」が51.6%(前年60.2%)と、8.6ポイント減りました。「提案されていないが、提案に向けた動きはある」20.6%(同16.1%)、「提案されている」15.1%(同12.9%)となっており、かなり動きが広がってきています。また、「この2年間に改悪された」は12.7%(同10.8%)でした。
2) 職能給・能力給導入の動きについては、「導入の動きはない」が61.2%(前年72.8%)に減り、「提案されていないが動きはある」が28.7%(同21.7%)に増えています。そして、「提案されている」6.2%(同4.3%)、「以前から導入されている」2.3%(同1.1%)、「この2年間に導入された」1.6%(同0.0%)となっています。実際に提案されたり、導入されたところはまだ少数ですが、提案の動きが広がりつつあります。
3) 諸手当・労働条件等の改悪提案については、「提案されている」が31.2%と3割を超え、「提案されていないが、提案に向けた動きはある」22.6%、「この2年間に改悪された」14.0%と、かなり激しい動きになっています。「提案されていない」は32.3%と、3分の1しかありません。なお、具体的な提案内容等も表の中に掲載しています。
6、退職金について
1) 支給月数に関しては、産別平均が2001年との比較(退職金は隔年調査のため、2001年と比較。以下同じ)で、若干下がりました。例えば勤続30年では、希望退職が39.1ヶ月で、2001年比マイナス0.8ヶ月、定年等が42.3ヶ月で、2001年比マイナス0.9ヶ月です。
2) モデル退職金の平均は、看護師が53.0ヶ月・2,186万円(2001年比は−1.0ヶ月・+5万円)、高卒事務が55.0ヶ月・2,091万円(2001年比は−1.6ヶ月・+3万円)となっています。支給額の平均が若干上がっているのは、集約組合の異同の影響であり、実態は微減です。
産別平均支給月数 |
勤続10年 |
勤続20年 |
勤続30年 |
勤続40年 |
希望退職 |
定年等 |
希望退職 |
定年等 |
希望退職 |
定年等 |
希望退職 |
定年等 |
2003年 |
9.6 |
10.8 |
23.5 |
25.6 |
39.1 |
42.3 |
50.2 |
53.1 |
2001比 |
-0.2 |
-0.2 |
-0.6 |
-0.7 |
-0.8 |
-0.9 |
-1.4 |
-1.8 |
2001年 |
9.8 |
11.0 |
24.1 |
26.3 |
39.9 |
43.2 |
51.6 |
54.9 |
産別平均モデル退職金 |
看護師(勤続38年・定年) |
高卒事務(勤続42年・定年) |
月数 |
支給額 |
月数 |
支給額 |
2003年 |
53.0ヶ月 |
2,186万円 |
55.0ヶ月 |
2,091万円 |
2001比 |
-1.0ヶ月 |
+5万円 |
-1.6ヶ月 |
+3万円 |
2001年 |
54.0ヶ月 |
2,181万円 |
56.6ヶ月 |
2,088万円 |
7、所定内労働時間について
1) 1日の労働時間は前年とほとんど変化ありませんが、1週間の実労働時間が11分伸び、年間総労働時間(所定内)も13時間58分長くなって、平均1857時間4分となっています。
2) 交替制勤務の多い職場でありながら、年間総労働時間1800時間未満は23.2%(前年25.3%)と、4分の1程度に止まっています。
産別平均 |
1日の労働時間 |
土曜日の労働時間 |
1週間の労働時間 |
年間総 労働時間 |
拘束 |
実働 |
休憩 |
拘束 |
実働 |
休憩 |
拘束 |
実動 |
2003年 |
8:20 |
7:24 |
0:57 |
4:23 |
4:13 |
0:49 |
43:04 |
38:11 |
1857:04 |
前年比 |
0:01 |
0:01 |
-0:01 |
-0:02 |
-0:02 |
-0:01 |
0:11 |
0:11 |
13:58 |
2002年 |
8:19 |
7:23 |
0:58 |
4:25 |
4:15 |
0:50 |
42:53 |
38:00 |
1843:06 |
2001年 |
8:19 |
7:23 |
0:57 |
4:17 |
4:10 |
0:44 |
43:01 |
38:10 |
1848:50 |
2000年 |
8:19 |
7:22 |
0:57 |
4:15 |
4:08 |
0:47 |
42:59 |
38:10 |
1852:00 |
1999年 |
8:19 |
7:22 |
0:57 |
4:11 |
4:05 |
0:46 |
42:58 |
38:18 |
1857:29 |
1998年 |
8:22 |
7:24 |
0:58 |
4:09 |
4:04 |
0:47 |
43:19 |
38:18 |
1,871 |
1997年 |
8:21 |
7:18 |
0:58 |
4:13 |
4:05 |
0:49 |
43:14 |
38:24 |
1,862 |
1996年 |
8:19 |
7:20 |
0:58 |
4:18 |
4:09 |
0:50 |
43:32 |
38:59 |
1,874 |
8、週休制と年間休日数、夏期・年末年始休暇について
1) 週休制については、「4週6休制」26.2%(前年26.1%)と「完全週休2日制」26.2%(同24.2%)が最も多く、続いて、「4週8休制」15.1%(同13.0%)、「月2回2日制」13.4%(同17.4%)などとなっています。「完全週休2日制」と「4週8休制」を合わせると41.3%(同37.3%)となり、「4週6休制」と「月2回2日制」の合計39.5%(同43.4%)を若干上回っていますが、依然として半数に届いていません。
2) 年間休日数については、平均110.4日(前年111.5日)となり、昨年より1.1日少なくなりました。最も多かったのが「120日以上125日未満」の24.8%(同27.3%)で、次いで「95日以上100日未満」15.4%(同14.5%)と「110日以上115日未満」15.4%(同14.5%)で、続いて「100日以上105日未満」10.3%(同8.2%)などとなっています。また、「120日以上」35.0%(同38.2%)、「110日以上」59.0%(同63.6%)となります。
3) 夏期休暇については、平均が3.6日(2001年3.6日)となりました。また、年末年始休暇については、平均5.3日(同5.3日)となっています。
9、労働安全衛生委員会と36協定について
1) 労働安全衛生委員会については、「組合代表が入っている」85.6%(2001年87.3%)、「労使同数となっている」48.1%(同53.2%)となっており、不十分な状況です。
2) 安全衛生委員会の開催状況に関しても、「1ヶ月に1回定期的に開催」は52.9%(2001年44.3%)に止まっており、「不定期」19.2%(同24.1%)、「ほとんど活動していない」13.5%(同13.9%)、「2〜3ヶ月に1回程度」10.6%(15.2%)となっています。
3) 36協定については、上限時間の平均が、1日では男3.7時間、女3.1時間、1ヶ月では男35.6時間、女30.2時間、1年では男311.8時間、女254.5時間となっています。男女別の時間規制を実現しているところがかなりありました。
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