2004年春闘 働くみんなの要求アンケート 報告
第3次集計・最終の特徴点について
004年2月25日・日本医労連調査政策局

1、集約状況と回答者の属性について
(1) 2004年春闘アンケートには、2月24日現在、日本医労連に41,208名分(昨年最終42,928名分)のご報告をいただきました。これをもとに、第3次集計をおこないました。
 この第3次集計をもって、日本医労連としての集計作業は打ち切ります。例年通り、今後は配布枚数・集約数のみ集約します。
(2) 回答者の属性については、年齢では、「20代」が最も多く30.4%(昨年最終31.9%、以下も特に断りのない限り、カッコ内は昨年最終)を占め、以下は「30代」27.0%(26.0%)、「40代」24.6%(24.5%)、「50代」16.0%(15.8%)などとなっています。39歳以下で57.7%(58.4%)と、6割近くを占めています。
(3) 職種では、「看護職」が58.1%(56.5%)と6割近くを占め、続いて「医療技術職」14.8%(15.4%)、「事務職」11.9%(12.5%)、「介護職」7.2%(6.4%)、「技能・労務職」5.8%(6.5%)などとなっています。「介護職」は一昨年4.7%であり、その増が目立ちます。
(4) また、「女」82.2%(81.9%)、「正職員」89.9%(91.2%)、「組合に加入している」88.8%(90.4%)などとなっています。「正職員」「組合に加入している」は、微減ですが、はじめて9割を切りました。

2、生活実感について        設問1(1)
(1) 「やや苦しい」が最も多く、43.6%(43.6%)を占め、続いて、「まあまあ」が28.4%(28.9%)、「かなり苦しい」が24.6%(24.3%)などとなっています。
(2) 「かなり苦しい」と「やや苦しい」をあわせた「苦しい」が68.3%(67.8%)と、3年連続で微増となり、7割近くになっています。反対に「かなりゆとりがある」「ややゆとりがある」をあわせた「ゆとりがある」は2.8%(2.7%)しかありません。医療労働者の生活悪化を物語るものです。

3、年間収入について        設問1(2)
(1) 「減った」が61.1%(46.9%)と、昨年から14.2ポイントも上昇し、6割を占めました。2001年の30.8%と比較すれば、実に2倍にもなっています。ベアゼロ・賃金抑制攻撃に加え、一時金の削減が押し付けられた結果です。
(2) 逆に、「増えた」は9.1%(12.6%)まで減り、「変わらない」も18.7%(28.6%)に止まりました。

4、生活実感からの不足額について        設問1(3)
(1) 最も多かったのが「5万円」の32.0%(31.6%)で、次いで「3万円」21.9%(22.3%)となっています。「3〜5万円」に59.8%(60.4%)と、6割が集中しています。
(2) 5万円以上が49.3%(48.8%)と、昨年より若干増加しています。この結果、「生活実感からの不足額」の平均は、41,836円(41,788円)となり、わずかですが、昨年から48円上がりました。ここからも、医療労働者の生活悪化をみることができます。
(3) 「生活実感からの不足額」の各組合の平均額については、かなりばらけています。最も多かったのが「4.0万円以上4.2万円未満」と「4.4万円以上4.6万円未満」の14.9%で、続いて「4.2万円以上4.4万円未満」12.3%、「3.8万円以上4.0万円未満」10.5%などとなっています。58.8%の組合が4万円台です。

5、春闘での賃上げ要求額について        設問1(4)
(1) 「1万円」がはじめて最も多くなり、24.5%(20.4%)を占めました。続いて、「3万円」21.0%(22.0%)、「5万円」15.5%(18.1%)、「2万円」15.2%(17.8%)などとなっています。
(2) 2万円以下が49.7%(45.3%)と、5割近くを占めました。この結果、「春闘での賃上げ要求額」の平均は、28,630円(30,965円)となり、昨年から2,335円下がっています。
(3) ただし、今回の結果については、新たに「5千円」という低額の選択肢を追加した影響もある点に注意が必要です。しかし、低額の選択肢を追加した影響を加味しても、「春闘での賃上げ要求額」の平均は2千円程度下がったと言えます。
 生活実感が苦しくなっているのに反して、要求額が下がったわけですが、春闘情勢等も勘案して回答したため、「生活実感からの不足額」との差が拡大したと言えます。
(4) 「春闘での賃上げ要求額」の各組合の平均額については、最も多かったのが「2.6万円以上2.8万円未満」と「3.0万円以上3.2万円未満」の15.8%で、次が「2.0万円以上2.2万円未満」と「2.8万円以上3.0万円未満」の9.6%となっています。後掲の分布表にあるように、「生活実感からの不足額」以上にばらけています。

6、不払い時間外労働について        設問2(1)
(1) 「ない」は38.5%(37.4%)となっており、わずかづつですが改善されています。しかし、依然として賃金不払いの時間外労働が横行している状況です。
(2) 3年前(2001年)との比較では、「ない」は6.0ポイント増え、「5時間未満」が6.2ポイント減っています。しかし、5時間を超える選択肢については、あまり変化がありません。不払い時間外労働が多かったところ(超勤が多く忙しい施設?)では、あまり改善されていないと言わざるを得ません。

7、疲労感について        設問2(2)
(1) 「とても疲れる」が微増し、50.0%(49.5%)と、5割を占めました。「やや疲れる」も43.2%(43.5%)となっています。「とても疲れる」と「やや疲れる」をあわせた「疲れる」は93.2%と、実に9割を超えています。医療現場の深刻な過密労働の実態を示すものです。
(2) 反対に、「あまり疲れない」は4.0%(3.8%)、「まったく疲れない」は0.3%(0.3%)しかありません。それをあわせた「疲れない」はわずか4・3%(4.1%)に過ぎません。

8、政府要求について        設問3(3つ選択)
(1) 「年金改悪の阻止と最低保障年金制度の確立」が最も多く、53.8%を占めました。続いて、「消費税減税や課税最低額の引き上げなど税負担の軽減」50.4%、「医療・介護・福祉・保育などの充実」46.7%などとなっています。この3つが他を引き離し、5割前後の高い割合となりました。
(2) 続いて、「リストラや解雇規制などの雇用安定策」25.2%、「最低賃金の引き上げと全国一律最賃制の確立」24.3%、「有事法制の発動阻止、アメリカ軍支援の中止、核廃絶の取組強化」23.6%、「失業者の生活保障と雇用の創出」20.0%などとなっています。
(3) なお、本設問は全労連の統一項目であり、選択肢が若干変更されています。各選択肢の表現も少し変わっていますが、大きな変更点は、「社会保障の拡充」が「年金改悪の阻止と最低保障年金制度の確立」と「医療・介護・福祉・保育などの充実」の2つの選択肢に分かれたこと、「有事法制の発動阻止、アメリカ軍支援の中止、核廃絶の取組強化」という選択肢が加わったことです。昨年結果は後掲していますので、参考比較してください。

9、労働条件改善要求について        設問4(3つ選択)
(1) 「増員」が最も多く5割を超え、50.7%(47.9%)を占めました。職場がいっそう忙しくなり、増員要求が切実であることを示すものです。
(2) 続いて、「諸手当の改善」42.1%(39.0%)、「完全週休2日制」31.6%(39.7%)、「休日・休暇の拡大」31.0%(31.3%)、「退職金の増額」26.6%(25.0%)などとなっています。ほぼ昨年と同様の傾向ですが、賃金抑制攻撃の強まりの下で、お金にからむ選択肢の割合が若干上がったようです。いずれにしても、増員に続いては、お金と休みの要求が強いと言えます。
(3) なお、「完全週休2日制」については、昨年から8.1ポイント下がっています。ただし、この選択肢については、すでに完全週休2日制を実現している単組で、当然ですが非常に低くなっています。昨年から割合が大きく低下したのは、完全週休2日制を実現している組合からの集約が増えたことが主な要因です。

10、職場の不安について        設問5
(1) 「賃金の抑制」が昨年からさらに3.4ポイント増え、27.0%(23.6%)となりました。賃金抑制攻撃への不安がいっそう強まっていると言えます。
(2) 続いて、「医療事故、医療・看護の質の低下」16.0%(16.2%)、「自分の健康」15.9%(16.7%)、「病院経営の悪化、統廃合」13.7%(14.9%)、「『合理化』の進行、労働条件の悪化」11・6%、(12.7%)などとなっています。
以 上