2004年度 賃金・労働時間等実態調査報告
2005年3月2日
日本医労連・調査政策局

1、平均賃金について

(1)正職員の平均賃金について
(1) 「正職員の平均賃金」の平均(単純平均)は、基本給で300,724円(前年比+7,759円)、所定内で336,062円(同−2,063円)となりました。前年比にかなり違いがありますが、報告組合の異同の影響が出たためです。
(2) 2003年度、2004年度どちらも報告があった組合に限って比較する(以下、「同一組合前年比」と言う)と、基本給でプラス228円、所定内でプラス221円の微増となっています。

(2)医師除く正職員の平均賃金について
(1) 「医師を除く正職員の平均賃金」の平均(単純平均)は、基本給で276,373円(前年比+1,352円)、所定内で288,353円(同−5,165円)となりました。
(2) 同一組合前年比では、基本給でマイナス1,009円、所定内でプラス72円となっています。

産別
平均
正職員医師除く正職員
基本給所定内年齢勤続基本給所定内年齢勤続
2004年度 300,724 336,062 38.8 11.6 276,373 288,353 39.0 10.3
前年比 +7,759 -2,063 +0.4 +0.5 +1,352 -5,165 +0.6 +0.6
2003年度 292,965 338,125 38.4 11.1 275,021 293,518 38.4 9.7
2002年度 293,308 323,141 39.0 11.1 273,513 288,407 38.5 9.6
2001年度 292,510 327,248 38.0 10.9 269,641 285,687 38.5 9.8
2000年度 291,599 328,318 37.6 10.3 266,979 292,887 37.3 10.6
1999年度 286,591 323,376 38.3 10.3 262,852 280,074 38.5 9.6
1998年度 282,658 307,803 36.6 10.1 251,252 280,737 37.6 10.1
1997年度 278,292 316,451 37.7 9.1 248,531 275,082 38.0 9.8
1996年度 272,987 301,711 37.6 9.5 242,499 261,041 38.2 9.8

同一組合
前年比
正職員医師除く正職員
基本給所定内基本給所定内
2004年度 +228 +221 -1,009 +72
2003年度 +572 -1,708 +515 +514
2002年度 +2,308 +3,434 +1,181 +2,061
2001年度 +854 +795 +2,850 +2,349


2、モデルポイント賃金について

(1)各職種のモデルポイント賃金について
(1) 各職種のモデルポイント賃金の平均は、次ページの表のとおりです。前年比では、今年度から項目を分けたヘルパー以外の18職種のうち、昨年を上回ったのは、初任給では半数の9職種ありましたが、35歳では医師と看護助手の2職種で、50歳では看護助手のみでした。

産別平均初任給35歳50歳
看護師 198,287 290,311 378,167
前年比 -230 -1,898 -2,885
98年比 +1,324 +2,851 +2,842
高卒事務 157,313 261,348 342,487
前年比 -771 -2,313 -2,335
98年比 -311 -686 -685
医師 314,825 522,065 703,959
前年比 +2,017 +5,112 -2,134
薬剤師 199,570 291,522 385,518
前年比 +568 -1,008 -1,196
准看護師 170,816 270,885 350,487
前年比 -713 -2,367 -3,193
放射線技師 188,355 284,024 374,614
前年比 +372 -317 -1,958
検査技師 186,637 281,810 371,865
前年比 +202 -1,584 -2,335
栄養士 174,396 271,971 360,012
前年比 +7 -1,695 -2,924
調理師 160,886 256,146 330,418
前年比 +416 -704 -2,260
大卒事務 182,560 269,682 355,570
前年比 -748 -1,967 -2,574
理学療法士 189,344 285,203 373,547
前年比 +184 -1,149 -700
作業療法士 189,780 284,154 371,188
前年比 -178 -3,114 -2,943
介護福祉士 165,314 250,239 324,973
前年比 -1,019 -940 -548
保育士 173,327 268,598 348,793
前年比 -1,615 -2,960 -2,318
歯科技工士 174,555 273,534 358,948
前年比 -888 -3,816 -4,367
歯科衛生士 172,442 271,869 357,493
前年比 -963 -3,652 -4,412
労務 150,435 241,437 309,182
前年比 +275 -2,906 -3,643
看護助手 157,737 246,655 314,043
前年比 +1,358 +2,071 +4,963
ヘルパー 156,784 244,302 309,687

(2) 同一組合前年比(次ページ参照)ではマイナス幅は小さくなっていますが、プラスとなったのは初任給で8職種ありましたが、35歳では医師、放射線技師、看護助手の3職種、50歳では医師のみに止まりました。大半の組合が前年同という結果ですが、一部に引き下げの組合があり、中高年層を中心として、産別の賃金水準はわずかに下がっていると言えます。

同一組合前年比初任給35歳50歳
看護師・前年比 +22 -455 -565
98年比 +2,399 +2,928 +1,781
高卒事務・前年比 -277 -711 -669
98年比 +1,673 +1,953 -198
医師・前年比 +837 +2,602 +2,924
薬剤師・前年比 +51 -553 -480
准看護師・前年比 -186 -314 -331
放射線技師・前年比 +43 +155 -750
検査技師・前年比 -161 -710 -787
栄養士・前年比 -56 -476 -596
調理師・前年比 +23 -392 -816
大卒事務・前年比 -314 -555 -773
理学療法士・前年比 +13 -525 -713
作業療法士・前年比 +105 -1,599 -898
介護福祉士・前年比 +125 -1,771 -3,019
保育士・前年比 -638 -880 -1,407
歯科技工士・前年比 -340 -742 -1,124
歯科衛生士・前年比 -232 -674 -945
労務・前年比 -170 -2,259 -1,431
看護助手・前年比 -82 +425 -998


(2)看護師と高卒事務のモデルポイント賃金について
(1) 看護師と高卒事務は、前年比だけでなく、1998年度との比較(98年比)をおこないました。
 看護師の98年比は、初任給でプラス1,324円(同一組合98年比は+2,399円)、35歳でプラス2,851円(同+2,928円)、50歳でプラス2,842円(同+1,781円)となります。
 高卒事務の98年比は、初任給でマイナス311円(同一組合98年比は+1,673円)、35歳でマイナス686円(同+1,953円)、50歳でマイナス685円(同−198円)という結果です。
(2) 看護師・高卒事務に関して、さらに詳細な経年変化を見るため、「看護師と高卒事務のモデルポイント賃金の推移」(後掲)を作成しました。1994年度から11年分の調査結果を、全体平均だけでなく、全医労・民間全国組合・地場組合にわけて掲載しています。
 地場組合について見ると、90年度を通じて全医労・全国組合との賃金格差を縮小し、初任給などは上回っています。しかし、地場組合の看護師はここ2年、高卒事務は4年程度、その平均がわずかですが下がっています。
(3) 産別ポイント賃金要求額に到達している組合は、看護師初任給で18.4%となっている以外は、ごく一部に止まっています。


3、企業内最低賃金協定について

(1) 企業内最低賃金協定の金額平均は、次ページのとおりです。月額で見ると、看護師200,572円(前年比+639円)、准看護師168,221円(同−3,619円)、誰でも157,794円(同−95円)となります。
(2) ここ数年、春闘での定昇のみ回答が大半を占めている影響もあり、企業内最賃協定の報告が減っており比較に問題がありますが、准看護師については下がっていると言えるようです。

産別
平均
看護師准看護師誰でも
月額日額時間額月額日額時間額月額日額時間額
2004年 200,572 8,698 1,206 168,221 7,403 1,005 157,794 6,755 897
前年比 +639 -60 -9 -3,619 -336 -115 -95 +72 +7
2003年 199,933 8,758 1,215 171,840 7,739 1,120 157,889 6,683 890
2002年 198,895 8,676 1,199 173,645 7,717 1,079 158,474 6,598 891
2001年 196,169 8,516 1,179 173,142 7,689 1,060 151,590 6,367 869
2000年 196,309 8,452 1,178 172,616 7,545 1,047 151,976 6,319 866
1999年 193,836 8,279 1,176 168,463 7,243 1,027 148,555 6,337 863
1998年 193,024 8,382 1,167 167,735 7,363 1,028 148,246 6,120 984
1997年 188,534 8,119 1,129 164,083 7,233 999 148,058 6,154 835
1996年 181,953 7,710 1,078 155,181 6,616 928 141,945 6,968 855



4、パートの賃金について

(1) パートの賃金(最低額)の平均は、看護師1,254円(前年比−4円)、准看護師1,103円(同−20円)、事務部門893円(同+16円)、給食部門889円(同+1円)、ヘルパー878円となっています。なお、ヘルパーについては、今回加えた調査項目です。
(2) 報告組合の異同の影響も一定出ているようですが、パートの賃金はほとんど変わっていないと言えるようです。

産別平均看護師准看護師事務部門給食部門パート
2004年 1,254 1,103 893 889 878
前年比 -4 -20 +16 +1  
2003年 1,258 1,123 877 888  
2002年 1,271 1,124 873 901  
2001年 1,269 1,129 891 900  
2000年 1,243 1,109 875 903  



5、賃金制度等の改悪の動きについて

(1) 職能給・成果主義賃金の導入の動きについては、「導入の動きはない」が57.9%(前年61.2%、前々年72.8%)に減ってきており、動きが広がりつつあり、「提案されていないが動きはある」が26.2%(前年28.7%)、「提案されている」9.0%(同6.2%)となっています。しかし、「以前から導入されている」3.4%(同2.3%)、「この2年間に導入された」3.4%(同1.6%)と、実際に導入されたところはごく一部です。
(2) 退職金の切り下げ提案については、「提案されていない」が50.7%(前年51.6%、前々年60.2%)と半数に止まり、動きが続いている状況です。そして、「提案されていないが、提案に向けた動きはある」19.7%(前年20.6%)、「提案されている」17.6%(同15.1%)、「この2年間に改悪された」は12.0%(同12.7%)となっています。
(3) 諸手当・労働条件等の改悪提案については、「提案されている」が31.6%(前年31.2%)と3割を超え、「提案されていないが、提案に向けた動きはある」18.4%(同22.6%)、「この2年間に改悪された」16.7%(同14.0%)と、かなり激しい動きになっています。「提案されていない」は33.3%(同32.3%)と、3分の1しかありません。


6、手当について

(1) 退職金や諸手当などについては、隔年調査で実施しています。手当関係で今回調査したのは、夜勤手当と家族手当、住宅手当です。退職金や夏期・年末休暇、安全衛生委員会等については、昨年度の報告書をご参照ください。
(2) 夜勤手当については、今回から介護福祉士を加え、看護師、技術職、事務職との4職種を調査しています。看護師についてみると、深夜割増を含めない場合の平均が準夜3,194円、深夜3,681円、深夜割増を含む場合の平均が準夜4,338円、深夜5,908円などとなっています。
(3) 家族手当については、その平均が、配偶者・第1扶養11,676円、第1子・第2扶養5,662円、第2子・第3扶養5,076円、第3子・第4扶養4,198円などとなっています。
(4) 住宅手当については、その平均が、世帯主・借家18,016円、世帯主・自宅10,004円、非世帯主・借家10,898円、非世帯主・自宅8,228円などとなっています。


7、所定内労働時間について

(1) 全体的に前年からほとんど変化ありません。年間総労働時間(所定内)は4時間42分短くなって、平均1852時間22分となっています。
(2) 交代制勤務が多くを占める職場でありながら、年間総労働時間1800時間未満は24.8%(前年23.2%)と、4分の1程度に止まっています。

産別
平均
1日の労働時間土曜日の労働時間1週間の労働時間年間総
労働時間
拘束実働休憩拘束実働休憩拘束実働
2004年 8:21 7:23 0:58 4:24 4:13 0:56 43:12 38:11 1852:22
前年比 0:01 -0:01 0:01 0:01 0:00 0:07 0:08 0:00 -4:42
2003年 8:20 7:24 0:57 4:23 4:13 0:49 43:04 38:11 1857:04
2002年 8:19 7:23 0:58 4:25 4:15 0:50 42:53 38:00 1843:06
2001年 8:19 7:23 0:57 4:17 4:10 0:44 43:01 38:10 1848:50
2000年 8:19 7:22 0:57 4:15 4:08 0:47 42:59 38:10 1852:00
1999年 8:19 7:22 0:57 4:11 4:05 0:46 42:58 38:18 1857:29
1998年 8:22 7:24 0:58 4:09 4:04 0:47 43:19 38:18 1,871
1997年 8:21 7:18 0:58 4:13 4:05 0:49 43:14 38:24 1,862
1996年 8:19 7:20 0:58 4:18 4:09 0:50 43:32 38:59 1,874



8、週休制と年間休日数について

(1) 週休制については、「完全週休2日制」が最も多く、30.1%(前年26.2%)を占めています。続いて、「4週6休制」22.8%(同26.2%)、「4週8休制」16.9%(同15.1%)、「月2回2日制」14.0%(同13.4%)などとなっています。「完全週休2日制」と「4週8休制」を合わせると47.1%となり、「4週6休制」と「月2回2日制」の合計36.8%を上回っていますが、依然として半数に届いていません。
(2) 年間休日数については、平均110.5日(前年110.4日)となり、昨年とほぼ同じ結果です。最も多かったのが「120日以上125日未満」の23.3%(同24.8%)で、次いで「100日以上105日未満」の14.4%(同10.3%)と「110日以上115日未満」の14.4%(同15.4%)、「95日以上100日未満」13.3%(同15.4%)などとなっています。また、「125日以上」12.2%(10.3%)、「120日以上」35.5%(同35.0%)、「110日以上」57.8%(同59.0%)となります。
以 上