患者国民に負担おしつけ
医療制度・構造改革 厚労省が試案
 厚生労働省は10月19日、06年度から実施をめざす「医療制度構造改革試案」を公表しました。政府は、年内に政府・与党案をとりまとめ、来年の1月の通常国会に関連法案の提出をめざしています。しかし、医療関係団体には、患者負担増や新たな高齢者医療保険制度などの試案に反対が強い一方、政府内には医療費のいっそうの抑制を強調する声も強く、秋から年末にかけて、私たちの運動の強化が求められています。
 「試案」の内容は、国民全体に新たな負担をおしつけるなど、日本の医療のあり方に大きな影響を与えるものとなっています。
 高齢者の窓口負担を2〜3割に引上げるのをはじめ、今回は、「70歳以上の長期入院」に限定しているものの、食費・居住費(部屋代)も原則自己負担としています。入院患者全体に拡大してくることは必至であり、保険給付の縮小で国民皆保険制度を実質切り崩すものとなります。
 また、保険制度を再編して、都道府県単位に医療費の抑制を競わせ、医療費が高いところには「罰則」(ペナルティー)を課そうとしていますが、国民医療と国民の生命に対する国の責任を大きく後退させるものです。さらに、医療費の伸びを経済指標とリンクさせ、抑制しようとしており、「必要な医療サービスの確保」が困難になります。
 日本医労連は10月20日、「厚生労働省の医療制度構造改革試案に抗議する」西川書記長の「談話」を発表。(1)試案は、戦後培ってきたわが国の医療保障制度を崩壊に導くものである。(2)試案に強く抗議し、国民との共同を広げ、医療制度の改悪を許さないたたかいに全力をあげる、(3)安全・安心の医療体へ、看護師をはじめとする医療労働者の大増員闘争を大きく展開する決意である、と強調しました。


「日本経済新聞」(10月20日)より