地域医療の存続・拡充のたたかいを
厚労省、労災病院の2割統廃合を発表
 8月27日、厚生労働省は、「労災病院の再編に関する基本方針」を発表、全国に37ある労災病院を2割程度削減する方針を明らかにしました。
 その中では、労災疾病の臨床研究機能を集中的に担う「中核病院」と、それ以外の専門病院で勤労者医療に関する全国的なネットワークを構築するほか、同一の二次医療圏にある複数の労災病院については、統合し、機能の効率化、高度化を図るとしています。

国会答弁と矛盾

 しかし、この「基本方針」には、まず2割程度の病院を統合・廃止あるいは民間・地方への移譲で削減していくことを盛り込んだことに問題があります。2000年12月20日に、旧労働省が策定した「労災病院の再編整備等計画」では、2つの労災病院の分院化と縮小内容が提起されたものの、基本的に全て存続するとしていました。また第155回国会での審議においても、この「再編整備等計画」と特殊法人の整理合理化計画とは、基本的に乖離はないと、答弁されてきました。今回の「基本方針」に盛り込まれた2割程度の病院を統合・廃止あるいは民間・地方へ移譲していくという内容は、全く今までの経過と矛盾するものです。

勤労者医療充実を

 全労災は、この「基本方針」に対して声明を出し、抗議およびたたかう意思表明を行っています。
 そのなかでは、「労災病院の統廃合は、勤労者医療の充実と相反するだけでなく、地域医療に果たしてきた役割からも極めて問題」であり、「今後とも地域住民、労働者、患者とともに労災病院の統廃合・廃止・移譲に断固反対して運動をすすめる」とともに「より良い病院、医療と看護の充実に向けた運動をすすめていく」決意を表明しています。

地域医療担う病院

 これまで労災病院の統合・廃止の動きに対しては、既に6つの道・県議会および64市町村の議会で、存続と充実を求める意見書が採択されました。また全国脊髄損傷者連合会や全国じん肺患者同盟などの患者団体をはじめ、労災病院のある地元の自治体関係者や医師会などの各団体代表が、存続のために上京して陳情や交渉などの働きかけを行うなど積極的な運動が展開されてきました。
 全国の労災病院は、労災・職業病対策と働く者の健康を守る課題への取り組みとともに、地域医療に大きな役割を果たしています。産別ぐるみのたたかいが重要になっています。