職場は限界、看護職ふやせ
医療事故をなくし、
安全でゆきとどいた看護の実現めざす大運動
増員・安全署名集めよう!

職場の実態を社会にアピール

 「深夜勤来てみて なぜいる日勤者、早く帰って休息を」「夏休み終わって病棟出てみたら、患者の半分違う顔、それでもやります日勤深夜」…「事故防止10ヶ条」の募集に寄せられた作品です。
 看護現場は「高速回転状態」といわれるように、超過密労働とサービス残業、違法な当直など、年ごとに過酷さを増しています。
 看護は、人の生死とむきあう緊張の高い仕事です。患者や家族の心のフォローも含めて求められるものは高度で幅の広いものです。
 ひとつひとつの看護の工夫の中から、患者の笑顔を引き出せた時、看護職は疲れも忘れ喜びを感じます。
 疲れた体とよどんだ心から、よい看護は生まれません。事故防止やよい看護こそ、看護職の願いです。
 日本医労連はこの秋、「看護職員のメッセージ運動」を呼びかけました。過酷な現場実態や看護への日ごろの思いをつづり、社会にアピールしていくものです。全看護職に書いてもらうととも、患者や家族にも広げてください。その声を黒書にまとめ、社会や国に、そして、国会に届け、看護職ふやせの大きな世論をつくっていきます。職場でもニュースにして、仲間の共感を広げていきましょう。

著名軸に国に増員をせまる

 国の看護基準は、「2対1」を上限として、長らく改善されていません。しかし、入院日数の短縮や医療の高度化で、職場は眼の回るような忙しさです。
 坂口厚生労働大臣も、医療事故に関連して「医療の現場があまりにも忙しすぎる」と国会答弁しています。医療安全推進総合対策の報告書でも、「リスクを考慮した適正な人員の配置」と、マンパワー対策の必要性が指摘されています。
 日本医労連は、看護職の大幅増員や診療報酬改善などを掲げ、増員・安全署名を産別の総力をあげて推進していきます。
 この署名を軸に、中医協委員への働きかけなども強め、来春の診療報酬改定では、「1対1」「1.5対1」看護の実現など、配置基準の抜本改善、大幅増員をせまります。前回の賛同議員など、国会議員に積極的に働きかけていきましょう。
 この運動を成功させる鍵は、看護職を先頭に、全組合員が思い切って外に足を踏み出すことです。組合員に意義を徹底し、患者への署名依頼や、病院玄関前での定例署名行動、署名コーナーの常設、他労組や患者団体、老人会など、あらゆるつながりを活かした署名以来など、徹底して署名にとりくみましょう。

安全度チェック −総点検と改善

 「安全でゆきとどいた看護の実現めざす大運動」の重要な柱として、組合員の学習運動と、「職場の総点検と改善運動」にとりくみます。そして、事故防止と大幅増員、看護現場の働くルール確立の課題を一体のものとして追求します。
 看護職が決起できるように、「看護集会」や職場討議などを、工夫しながら開催し、全員の意思統一をおこないます。看護要求実現全国交流集会で決定された「看護職場の事故をなくす10ヶ条」を入れて、新たなポスターもつくりました。職場に張り出し、雰囲気づくりと意識付けもすすめていきます。
 「安全度チェック」の表を活用して、職場ごとに、総点検をおこないます(リーフについては近々改訂版を発行予定)。「△・×」になった課題については、職場で直ちに改善できるものは改善しつつ、経営者に対する要求を明確にして、団体交渉で具体的に改善を迫っていきます。
 また、「医療事故防止の実態調査結果」を活用し、自らの職場実態を話し合い、職場の問題点については、その改善も一緒に求めていきます。
 全国で、安全度チェックや患者・住民アンケートなどのとりくみが具体化され、それを元に具体的な改善がすすめられています。安全でゆきとどいた医療を実現するために、全単組・支部でとりくみをいっそう強化していきましょう。

夜勤協定柱に働くルール確立

 看護職のかつてなく過酷な労働実態の改善と、働くルール確立のために、増員要求を明確にして、とりくみを強化しましょう。
 重点課題は、
(1) 職場ごとの配置人員を明記した3人以上・月6日以内夜勤協定の締結と遵守
(2) 不払い時間外労働の一掃
(3) 妊産婦の夜勤禁止や生休の取得など母性保護の徹底と年休消化
(4) 宿日直の交替制勤務への改善
(5) 委員会・研修の勤務時間内保障
です。
 実現には、増員が不可欠です。夜勤協定は増員協定です。ゆきとどいた看護がしたいという思いを結集し、職場ごとの増員要求を明確にし、夜勤協定の締結・改善・遵守を軸にとりくみます。各全国組合・県ごとに重点組合を決め、援助や激励を集中しましょう。
 経営者の経営「効率」最優先の姿勢の下で、応援体制や病棟・外来の一元化、長時間2交替制勤務などの導入の動きが強まっています。次々と看護システムが変更されたり、委員会や研修におわれたり、評価システムや人事考課・職能給などが導入されています。
 看護「合理化」を許さないたたかいは、5つの点検基準、
(1) 患者にとってプラスになるのかどうか
(2) 看護が充実し、看護職が納得できるものかどうか
(3) 看護職だけでなく、各職種間の連携にとってどうか
(4) 人員や労働条件の切り下げにならないか
(5) 患者や看護を置き去りにし、「効率化」や「採算性」のみが優先されていないか
にそって点検と職場討議を徹底して、反撃していきます。


来年度開設は4校のみ
 希望者全員の受講保障を

 2年課程通信制の来春開設の申請が、9月10日に締め切られました。問い合わせに対し、厚生労働省は、「栃木、山口、福岡、大分の4校から申請があった」と回答しました(公表に難色を示した学校があったため、学校名は明らかにされませんでした)。
 各県医労連の情報などを総合すると、その4校は、栃木・報徳会宇都宮病院附属准看護学校、山口・東亜大学、福岡・福岡看護専門学校、大分・別府大学附属看護専門学校で間違いないものと思われます。
 その他に8月後半まで名前のあがっていた数校は、準備が間に合わなかったなどの理由で、来年1月の申請(2005年春開設)に回りました。
 2年課程通信制新設の省令改正が3月末にずれ込み、わずか半年しか準備期間がなかったとは言え、来春開設が4校に止まったのは大問題です。
 2005年度以降の開設も、ほぼ確定したと見られるのはまだ一部の県に止まっています。
 日本医労連が実施している「准看護師アンケート」の中間的集約でも、2年課程通信制の受講希望と非希望がはぼ半々という結果となっています。回りが受けだせば、なだれ現象が起きる可能性もあります。
 このように学校開設が一部に止まっているのは、国や都道府県が、開設を養成所任せにして、積極的な役割、責任を果たしていないからです。
 国や自治体の責任で、一定期間で希望者全員の受講を保障する学校養成所の開設を求める運動を、徹底して強化していくことが求められています。
 日本医労連は、まもなく准看護師アンケート結果を発表するとともに、厚生労働省交渉などをおこないます。各県医労連でも、情報センターや未組織の仲間とも共同して、署名運動などとりくみを緊急に具体化し、県に迫っていきましょう。
 2005年開設のためには、来年1月中に計画書を提出する必要があります。したがって、この秋のとりくみが決定的です。開設が決まれば、放送大学の科目も確定します。開設求める声と運動を徹底的に広げましょう。

開設を申請したはずの学校
栃木 報徳会宇都宮病院附属准看護学校
山口 東亜大学(現在は看護系の学科なし)
福岡 福岡看護専門学校
大分 別府大学附属看護専門学校




看護職場の事故をなくす10ヶ条

■ 増員で ゆとりと安全 とりもどそう
■ なくせサービス残業 つくるな過労死
■ その疲れとって守ろう 命と安全 しっかり休養 バッチリ頭脳
■ 危ないよ 割り込み業務は 事故のもと
■ 聞いて 見て 注意し合える気持ちよさ 話せる職場が事故防ぐ
■ 規則と手順 決めて まもれる環境を
■ 口頭指示は事故のもと 緊急以外は文字にして
■ 薬の間違いなくそう 類似薬品のいっそうを
■ 機器の耐用年数切れなくそう 安全性と使いやすさ第1に
■ インフォームドコンセント 患者とともに事故防止