厚労省 5病院廃止・2病院分院化の削減計画を発表
全労災 廃止阻止へ闘争体制強化

 12月2日、労働福祉事業団は、全労災との団体交渉の場で、厚生労働省から7施設の労災病院の削減計画が明らかにされたことを伝えました。計画は、全国37労災病院のうち5病院を廃止し、2病院を統合病院の分院とするもの。全労災は、同日に声明を発表、「労災病院の統廃合は、勤労者医療の充実と相反するだけでなく、地域医療に果たしてきた役割からも極めて問題」だとして、厚労省に対し「地域住民、労働者、患者とともに労災病院の廃止に断固反対して運動をすすめる」と決意表明しました。

 労災病院の統廃合計画は、今年8月27日に、厚生労働省が打ち出した『労災病院の再編成に関する基本方針』(基発第0827002号)で、「現在の37労災病院を、2割程度削減を目途に再編し、平成15年度中に再編成計画を策定する」としていたもの。12月2日に労働福祉事業団を通じて明らかになった削減計画では、「霧島温泉労災病院を平成16年度中、珪肺労災病院と大牟田労災病院を平成17年度中、岩手労災病院を平成18年度中、筑豊労災病院を平成19年度中に廃止する」「美唄労災病院と岩見沢労災病院は統合し、平成19年度中にどちらかを分院化する」「門司労災病院と九州労災病院については統合し、門司労災病院を平成19年度中に分院化する」となっています。

存続・拡充が地域住民の願い

 全労災と日本医労連の加盟組合では、全国の労災病院は公的医療機関として、労災・職業病対策などの勤労者医療や救急医療を含む地域医療で重要な役割を果たしており、統廃合・縮小計画に反対し整備拡充を求める運動に取り組んできました。その結果、7道県と70以上の市町村の議会で労災病院の存続充実を求める意見書が採択されているほか、地元医師会や全国脊髄損傷者連合会、全国じん肺患者同盟など、広範な医療関係者・患者団体による労災病院を守る運動が行われてきました。
 日本医労連は、今回の労災病院の削減計画は、地域医療を後退させ医療労働者の雇用を奪い住民の期待を踏みにじるものとして、すべての加盟組織に計画の撤回と労災病院の存続にむけた取り組みの強化を呼びかけています。全労災も12月17日に「緊急支部代表者会議」を開催し、当面の運動の意思統一を行い、労災病院を守るたたかいに全力をあげることにしています。