国立滋賀病院に人事院判定
組合側主張全面的認め 超勤手当支払え
 国立滋賀病院の看護師2人が超過勤務に見あう超勤手当を支払われなかった問題について、人事院は2月13日、「病院当局は職員本人から申告があったが超過勤務として取り扱わなかった時間について、精査を行った上、所要の措置を講ずべきだ」との判定を言い渡しました。これまで国立病院などでの不払い残業はないとされてきましたが、今回の人事院の判定は、適切な労働時間管理を指導すべき厚労省の職場に不払い残業があることを、事実上認めたものです。
 2人は国立滋賀病院の第3病棟(60床)に勤務する全医労の組合員です。同病棟には常に50人を超す患者が入院しており、看護師長、副師長を含む20人で看護していましたが、看護師たちは超過勤務を余儀なくされていました。
 2人の看護師は、01年5月から6月にかけての超過勤務分の手当を請求しましたが、病院側はそのうち2人分を合計した約16時間は超勤と認められないとして除外していました。このため、全医労近畿地方協議会が03年、人事院に行政措置を要求していました。
 人事院は、病院側が「超勤として申告された際に、本人に業務の内容、勤務の態様などについてただすことも含めて十分な確認を行ってはいない」などと指摘。また超過勤務管理のずさんさも認めたうえで、請求があったうち、約15時間が超過勤務だったとして、相当する3万3千円の手当を支払うように求めました。
 全医労本部は同19日、行政職場での不払い残業の実態を、人事院が認めた「画期的」な判定とする声明を発表。「事例は氷山の一角」と指摘し、不払い残業解消と医療スタッフの緊急の増員などと同時に村上優子さんの過労死裁判の早期決着を求めています。