3月
医療の紹介予定派遣解禁

職場に入れさせないたたかいを

紹介予定派遣解禁

 3月1日より、派遣対象外業務とされていた医療機関の医師・看護師等についても、「紹介予定派遣」に限って可能となりました。
 03年3月には、社会福祉施設における医療関連業務が派遣解禁となりましたが、医療機関については、患者の安全やチーム医療の観点から、引き続き適用除外とされていました
 財界の圧力が強まるもとで、昨年6月の労働者派遣法「改正」で、紹介予定派遣は事前面接が可能になるや、慎重な論議も尽くさず、医療資格者の紹介予定派遣を解禁したのです。

紹介予定派遣とは

 紹介予定派遣とは、派遣先企業(医療機関)が労働者を直接雇用することを前提に、6ヶ月を上限に労働者派遣を行うものです。
 派遣期間中に、医療機関は派遣労働者の業務遂行能力等が直接雇用にふさわしいか見定め、派遣労働者は仕事が自分に合うかどうかなどを見定めることができるとされています。
 派遣期間終了後に、派遣会社は派遣先の医療機関と派遣労働者に、職業紹介(雇用関係の成立のあっせん)を行います。医療機関は派遣会社に求人条件を明示し、派遣会社は派遣労働者に医療機関の求人条件を明示し、求職の意思(直接雇用を希望するかどうか)の確認を行わなければいけません。双方の合意が得られれば、派遣終了後に、直接雇用に移行します(合意が得られなければ、労働者派遣はそのまま終了)。
 医療機関は、労働者派遣法の派遣期間の範囲内で、別の派遣労働者を受け入れることも可能です。派遣を打ち切ったり、採用しない場合には、求めがあればその理由を文書で明示しなければなりません(図1)。




厚労大臣も否定?

 今通常国会の2月27日の衆議院厚生労働委員会で、坂口厚労大臣は「派遣というのは一時的なつなぎにはなるだろうと思いますが、医師や看護師のように非常に数が足りない職種において、派遣業で募集しても、誰も来ないのではないか思っております。現実問題として、派遣業に登録される医師や看護師がそんなにいるとは思っていません。制度としては作りますが、そんなに機能するものではないというのが私の認識です」と答弁しています。
 きわめて無責任な答弁といわざるをえません。

紹介予定派遣の問題点

 紹介予定派遣の解禁は、「6ヶ月のお試し雇用の復活」であり、不安定労働者の拡大をもたらすものです。
 頻繁な入れ替わりなど、チーム医療に支障が生じ、安全が脅かされます。また、雇用関係と指揮命令関係が分離するために患者に対し責任の所在が分散してしまいます。派遣労働者の安上がり、低賃金、劣悪な労働条件は、専門性の発揮を阻害することにもなります。
 現在、「医療の効率化」が優先されている下で、欠員不補充、臨時・パートへの置き換えが進行しています。派遣労働はさらに、この状態に拍車をかけることになります。医療事故の続発を助長することになりかねません。

職場への導入を許さない

 職場でしっかり内容を知らせ、職場に導入させないために徹底してたたかうことが重要です。医療を守るために、正職員で雇用させる運動こそが求められています。
 経営者が強行した時には、直接雇用させることを大切にします。脱法で労働者を「使い捨て」にさせるなどとんでもないことです。