廃案しかない
“史上最悪”の年金改悪

 私たちの将来の生活を支える年金制度が今大きな岐路に立たされています。将来にわたる国民への保険料の負担増と、年金給付額の切り下げとともに、さらに「年金一元化」をめぐって、消費税増税・さらなる負担増拡大が議論されています。

 国会審議中の年金法案に、各紙社説は「政府・民主党案共に問題があり年金不安を増幅」(毎日)、(民主党案では「自営業者の保険料は事業主側負担がない分サラリーマンの2倍の負担となる」(6倍の試算も)(朝日)、「給付水準は政府案と同程度確保とするが3%の年金目的税で足りるか」(読売)、と問題点を指摘。
 政府案(図1)ではサラリーマンが加入する厚生年金保険料は10月より毎年アップし、年収450万円の人で2017年には年間約10万6千円の負担増です。また自営業者などの国民年金保険料は毎年3360円も上がり続ける内容です。一方、給付年金額は今後自動的に引き下げられ、18年後には一律約15%も削減されます。
「保険料が給料の1割近く取られる」「こんな改悪では生活できない」の声は切実です。今年1月の読売調査でも76%の国民が保険料の引き上げ・給付の削減に反対との結果でした。
 年金制度の問題は少子高齢化だけではなく、厚生年金加入者が97〜02年で189万人も減る大企業のリストラが一因です。正規雇用を増やし年金の支え手を広げれば、年金財源は安定します。同時に175兆円もの巨額の年金積立金の計画的な取り崩しと、正しい活用が必要です。
 政府は年金財源の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げると国会で決めましたが、それを先送りにし、消費税増税で年金財源をまかなおうとしています。しかしムダな公共事業を削り大企業の優遇をやめれば、年金改善の財源は十分確保できます。
 政府与党は年金関連法案の4月中の衆議院通過を狙います。これに対し15日には日本医労連7万5千人を始め、ストを含む百万人規模の年金改悪反対行動が全国で展開されました。
 また14日、日本歯科医師会の臼田会長ら7人が、贈収賄容疑で逮捕された、日歯連汚職事件に関し、全労連は、年金改悪法案の撤回と、国会での事件の徹底解明を要求する「談話」を発表しました。もう一回り大きく職場から改悪反対の声を上げ、史上最悪の年金法案を廃案に追い込むまでたたかい抜きましょう。