日本医療機能評価機構が回答
労使関係に介入せず

「成果主義」導入は認定基準ではない

受審理由に導入提案
 病院機能評価の受審を理由にした人事管理制度の一方的変更や、職能給・成果主義賃金制度の導入提案が相次いでいます。
 東京の井之頭病院では、組合活動を理由にした一時金の減額や組合費チェック・オフの一方的中止など、経営者の組合敵視の不当労働行為が繰り返されています。今度は、病院機能評価の受審を理由にして病院は、「『職能給的な要素をどこで加味しているか』を強く指摘された」「空手形ではOKは出せないとのことだった」「病院機能評価を受審する以上は『職能給的視点を取り入れた給与体系』が必須条件と受け止めた」として「職能給的視点を取り入れた給与体系」の検討を進めています。
 長野・松本協立病院の「審査結果報告書」では、「人事考課制度について、運用においては上司と本人協議の目標設定が主目的であることは、本来の人事考課制度とはかけ離れた制度と思われる。昇格、給与、賞与に反映するように工夫されたい」と明記されています。
 学術的・中立的な組織としての(財)日本医療機能評価機構が、医療経営者に特定の人事考課制度の導入や賃金・労働条件の変更を求めることは、労使関係への介入であり、憲法や労働組合法、労働基準法にも抵触する重大な問題をはらんでいます。

機構に4項目の要請
 日本医労連は、4月22日、日本医療機能評価機構に対し、「人事考課」関連の評価項目の見直しについて、(1)「賃金への反映や、職能給・成果主義賃金制度の導入を求める主旨ではない」ことを明確に示すこと、(2)全ての評価者に対する「評価は『人事考課が適切に行われている』か、『合理的な基準がある』かなどを問うものであり、具体的な内容は問わない」ことの徹底、(3)評価に当たっては、人事管理一般も含めて労組代表もしくは職員代表からの意見聴取を必ず行うこと、(4)具体的事例についての事実関係確認、誤解を与える発言と記述を撤回すること、の4項目を申し入れました。
 5月19日、日本医労連は機構の大道久評価委員会委員長、菅原浩幸審査部長、富樫雄一事務局長と懇談を行いました。

受審理由の根拠なし
 大道評価委員長は、「02年に表明した『評価の中立性厳守』『労使関係不介入』は不変であり、改めて文書回答するまでもない」とした上で、「職能給・成果主義賃金の導入は認定の基準ではない。経営者が受審を理由にして賃金制度や労働条件の変更を提案するのに、機構は関知するものではない」と明言しました。
 また今後は、「現在800人を越えるサーベイヤーの研修を徹底すること、機構の正式見解としての『最終報告書』の表現、記述に正確を期する」ことを確認しました。
 なお「労働組合の意見聴取については、受審契約者である医療機関が求めれば実施可能。指摘された具体的事例については、可能な範囲で対応し今後に生かしたい」と回答しました。
 機能評価の受審を口実にした人事管理制度の一方的変更や、職能給・成果主義賃金制度の導入提案には根拠がないことは明白です。
 日本医労連は、今後も継続的に評価機構との情報交換と懇談を重ねていくことにしています。