母性保護実態調査 日本医労連女性協議会
9割が生休取れず 7割が妊娠異常

 日本医労連女性協は、「母性保護実態調査」を発表。6月1日までに8256名分を集約しました。回答の8割強を交代制勤務にたずさわる女性が占め、現場の深刻な母性破壊の実態が浮き彫りになっています。

1.「疲れ」は常態化職場改善急務
 「疲れ」が「翌日に残る」「休日後も回復せず」とも4割で、「前より疲れる」も5割でした。「イライラする」3割、「不安・眠れない」4分の1からは精神的ダメージの大きさが、「へとへとだ」15%には深刻な状況が表れ、心の健康に影響する職場改善が急務です。病気休暇制度では「ある」が6割の反面、「知らない」が4分の1にも達し、全体の半数が具合の悪い時に「休暇が取れず」、その理由も「人手不足」が約5割と、仕事優先の職場事情が鮮明です。

2.健康破壊の最大要因‐長時間労働
 超過勤務では月100時間以上職場が4%、厚労省基準「45時間」以上も1割弱あり、「深夜を含む交代制労働」職場にあるまじきリスクです。また超勤理由では「業務量が多い」「人員不足」とも5割に達し、「有給休暇」取得は、5日以下が4割強、10日以内でも7割強と、非常に低い取得率です。

3.生理休暇切実でも9割が未取得
 昨年の生理休暇「0日」が9割と、大半が取得できず(グラフ)、生休を「必要とする」が9割以上の反面、「みんなが取得しない」「仕事が忙しい」などの理由で生休の取得が困難な状況です。また「痛くて動けない。夜勤はつらい」「仕事に集中できない(苦痛のため)ミスにつながる」など切実な声が集まり、5割強の人が月経の不順・不調を訴えています。

4.中高年者の訴え
 更年期休暇や年齢による夜勤軽減では「必要」が9割に上る反面、中高年の夜勤制限「なし」が8割強と、家庭では介護や子の自立に関わり、職場ではベテランとして二重の重圧に耐える中高年女性は、今の医療現場でいつまで働き続けられるか不安を抱いています。

5.7割が妊娠異常
 妊娠異常は妊娠者の実に7割が経験し、6割強が「流産・出血」です(グラフ)。異常出産も2割強あり、直ちに職場状況の改善が必要です。産前産後休暇は「産前6週」が5割強「産後8週」が7割弱と最多で、8週未満の理由では「権利を知らない」が3分の1に達します。

6.妊産婦への業務軽減
 時間外の制限は「ほぼ」「一定期間時々」あわせても「免除」が3割にもみたず、深夜勤務の免除では「免除」「一定期間時々」合計でも4割に止まります。また、妊娠出産に関わる「通院休暇・通勤緩和・休憩」等の保護規定では配慮や対処が「されなかった」が7割、「申請で措置される」ことを「知らない」がここでも6割弱ありました。

7.育児休業法について
 育児時間を「取得した」が5割弱。「しなかった」4割弱では、「忙しいなど職場事情」によるが3割、「申請で取得できる」ことを「知らず」が2割弱でした。
 また育児休暇は「取得した」7割と高い反面、取得期間は1年未満が7割弱、次いで「取得せず」が4分の1で、「申請したが認められない」例もあり今後改善が必要です。
(以上、「母性保護実態調査報告」(中間)より)