日本医労連第54回定期大会によせて
さらに飛躍を 医労連への期待

 日本医労連は、7月22日から3日間、第54回定期大会を静岡県熱海市で開催します。激動する情勢のなかで、日本医労連の果たす役割はかつてなく重要になっています。定期大会にむけ、医労連に関わりの深い3人の方からメッセージをいただきました。

新しいうねりを地域から
全国保険医団体連合会 会長  室生 昇

 医労連第54回定期大会、おめでとうございます。
 度重なる患者負担増に診療報酬の引き下げと、私たちを取り巻く情勢は、厳しいものがあります。厚生労働省の調査・研究でも、患者負担増により高血圧や糖尿病などの慢性疾患の治療中断が顕著で、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などの合併症の発症が危惧されるとしています。国民の健康を守るべき医療保険が、機能不全に陥っているのです。
 自公政権の医療改悪に散々痛め付けられた結果、いま日本医師会では、「患者、住民の味方になる医師会になろう」との議論がされています。「国民の苦しみを解決してこそ、我々開業医の要求も実現できる」という認識が広がりつつあります。いかに世論に訴えるか、「広報活動の強化を」という発言が、代議員会では出されています。
 来年は介護保険の改悪が焦点です。再来年には医療の抜本改悪が計画されています。慢性期入院に大ナタを振るうと厚労省高官は公言しています。都道府県単位で高齢者医療費に照準を当てた医療費抑制策も強められています。さらに、一部野党も巻き込んで、社会保障改革と消費税増税を一体で議論する動きも本格化しています。
 我々医療従事者が患者、住民との信頼関係を強めて、それぞれの地域から政府の企みを跳ね返す、新たなうねりを作り出そうではありませんか。
 平和と社会保障が、危機に瀕している時、労働組合が草の根からの国民的運動のけん引車の役割を発揮されることを心から期待しています。

もう一度、患者・住民と共に
国民医療研究所 所長  日野秀逸

 日本医労連大会の成功を強く期待するものです。私が国民医療研究所所長に就任した02年6月には、健康保険法改悪が焦眉の課題でした。ご承知のように、02年10月から高齢者の負担が引き上げられ、一般の自己負担上限も大幅に引き上げられました。さらに、昨年4月からは、健保本人も3割負担になりました。04年は年金で揺れました。また、05年には介護保険の大幅な見直し、06年には診療報酬の大幅改訂が予想されます。そして、07年の消費税引き上げが取りざたされています。まさに社会保障の連続的大改悪が準備されています。
 医療・年金・福祉・介護の大改悪は、医療労働者、福祉労働者に、人減らし・労働強化の耐え難い困難をもたらします。同時に、この改悪は利用者の身体と暮らしに打撃を与えます。社会保障をめぐる危機的状況を目の当たりにして、私は改めて医療労働者の先駆的な闘いを思い起こします。 遅れた労使関係にあった医療分野で、良い医療を実現するために立ち上がった60年の病院ストライキ、患者のために安心・安全を保障できる夜勤体制を求めた60年代後半のニッパチ闘争等々。時代は変わってきましたが、患者の生命と安心・安全を守るために、患者・国民に十分な説明を行い、医療労働者自らの健康と働く権利を守るためにも、共に闘う。こうした取り組みの原則的構図を改めて構築していきましょう。

草の根の底力に
日本医労連元執行委員長  江尻尚子

 日本医労連の皆さんのご奮闘に敬意を表します。
 労働者のみなさんの連日の休みなきご奮闘は、一市民になった私にとっても実に頼もしく、それだけに大きな関心と期待を寄せているところです。
 年々、労働者へのリストラ、賃下げも厳しくなり、福祉・社会保障切り捨てによる国民いじめの悪政は、とどまることなく一般庶民にのしかかり、怒りと不安は増すばかりです。
 そこへもってきて年金大改悪、自衛隊のイラク派兵につづく多国籍軍への参加、消費税の大増税、そして、ついに憲法9条の改悪などなど…。小泉首相の「構造改革」の総仕上げがされようとしています。とくに日本を「戦争をする国」に変える憲法9条改悪は、トンでもないこと。なんとしても阻止しなければなりません。
 そのためには、全国各地から湧き上がるような、国民的な大きな反対運動が必要だと思います。その運動を支える底力となる労働者・労働組合の役割を期待しています。
 労働組合のイニシアチブを発揮していただきたいし、また地域の草の根運動を広げる上で、労働者のみなさんが職場や、居住地でまわりの住民との共同運動を、ぜひ起こしていただきたいと思います。組織的な運動と個人的な参加で、あらゆる共同の運動を展開し、断固憲法9条を守り抜く決意を、行動で示していただきたいと切望し、第54回全国大会のご成功を祈念いたします。