自治体病院統廃合とたたかう青森の仲間
地域医療を守り安心して暮らせる町に

「病院なくされば困る!」

 津軽海峡の冬景色が近づいていますが、本州北端青森県の日本海側に位置する西北五地域保険医療圏では、住民のいのちと健康を守るため、「住民要求に応えられる自治体病院を存続・拡充させよう!」と、住民と医療や自治体労働者の熱い運動が繰り広げられています。

サテライト化
 青森県内には30の自治体立病院があります。現在、その多くは、「赤字」や深刻な医師不足に悩んでいます。このような中で、青森県は、これらの病院を整理縮小する「青森県自治体病院機能再編指針」を平成11年に策定しました。
 その内容は、県内を6つの医療圏に分け、それぞれに中核病院を置き、回りの病院は縮小したり診療所にしようとするものです。
 西北五圏域では、五所川原市にある西北中央病院は中核病院として476床から580床に増床され、医師も現在の32・5人から62人に増やす計画ですが、同圏域の鮫ケ沢町立病院と公立金木病院は縮小され、木造町立成人病センターと鶴田町立中央病院は廃止されベットの無い診療所になってしまいます。
 2008年度を目途に、中核病院として現在の北西中央病院を新築し、同圏域の他の4つの自治体病院を初期医療中心の「後方支援病院・診療所と位置づけ機能再編を図る」というものです。

このままでは……
 昨年4月、県医労連、西北中央病院労組、西北五地区労連、自治労連青森県本部、の4団体で「共闘会議」を発足、学習会や16回もの会議を重ねました。12月16日には、県の「再編推進チーム」を呼んで「説明会」を持ちましたが、県は「計画を出す立場だ。自治体でよく話し合ってほしい」と無責任な見解を述べるにと止まりました。一方、各市町村の首長との懇談も行いましたが、そこでは、「県で財政を負担してくれないと…」「医師の確保は自治体だけでは無理がある」「県の支援が不可欠」との主張が相次ぎました。
 「このままではいけない」と、住民運動の強化をめざして、今年6月19日、この地域の中心となる五所川原市で「西北五地域医療を守る住民の会」が19団体65名が参加して結成され、(1)情報収集の強化、(2)地域での草の根の学習や懇談会開催、(3)宣伝、「住民の会」の拡大、(4)行政への働きかけ、署名・請願行動などの方針を決めました。

老人の町になる
 病院が廃止される計画の地域住民からは「お産もできず、小児科もなくなればおのずと老人の町になる」との声や、また、「赤字だからといって自治体病院を無くしてよいのか」「再編計画ではもっと赤字が増える」との県の計画を疑問視する声が広がっています。
 地域での学習会には、体調が悪いのに杖をついて来て、「病院なくされば困る」と何度も繰り返し訴える老人の姿も見られます。

矛盾抱える計画
 いま、各地で「住民の会」主催の学習会・懇談会が開催されていますが、住民の会幹事の金川佳弘氏は、「いろいろ分析・検証を行ったが、県が立案した再編計画案は(1)累積欠損金の処理、(2)医師確保の問題、で矛盾するものとなっている。また、この計画が実施されてた場合の地域医療の質的低下が懸念される。そして、この計画では自治体の財政負担は現在より増加するだろう」と強調。将来の医療体制は「住民みんなで考えよう」と訴えています。
 10月も4カ所で住民懇談会が行われます。青森県医労連も、地域医療を守るこの運動の先頭に立って奮闘しています。