全日赤・松江
36協定も2ヶ月更新 残業規制を重視

「時間外労働なくそう」
労使委員会を設置


サービス残業は「しない・させない」
 組合事務所のドアを開けると、『サービス残業を“しない・させない”職場づくり、組合に入って実現しよう』とのステッカーが貼られている。
 「10月12〜13日両日の退勤調査で組合員が6人増えた」と、組合ニュースを作りながら喜ぶ笠原秀憲委員長。「退勤調査」は労組の活動する姿をアピールした。自ら集計した「退勤時間アンケート」結果を見ながら「大変な状況だとは思っていたが、夜の7時が過ぎても日勤者が病棟に残っている」「2時間以上の時間外労働を行ってる者が、集約した327名の内92名(28・1%)もいた」と驚き気味。ニュースに「“看護師さんの疲労は危険域”」との見出しをつけた。

組合員3倍に 勤務表活用しアタック
 「20年前に比べ組合員は3倍になった。この間労組は、職場の要求を取り上げ、それを解決して職場に返していくなど、「組合に入ってもらうための活動を地道にやってきたと思う」と西尾糸子書記長は言う。
 松江日赤の職員は約千人。昨年は70名の組合員を増やしたが、40名が退職した。毎年、新入職員の過半数を組合に組織しないと組合員数はマイナスになっていく。「今日一人入りよったよ。350人になったね」と感慨深そう。

一律「時間外」支給議論の中、克服
 松江日赤には、かつて「一律時間外制度」というものがあった。一定時間以外の残業は認められず、職員が10〜11時間の一律残業手当を得る代わりに、サービス残業を容認していた。
 5年の経過措置をもって平成7年7月25日、この制度を廃止させ、「一律」でなく、残業時間は全て請求することとした。しかし、職員も請求することに慣れていなく、サービス残業が広がっていった。組合は、これまでも、「サービス残業」の解消を団交で追求してきた。しかし、経営側は「請求されれば払う」と開き直るだけで、時間外を請求しにくい職場の雰囲気を無視してきた。

時間外労働明確化へ1歩前進
 昨年秋、経営側に対して、9項目の業務について、時間外となるか否かを明確にするよう「質問状」を出した。回答の中味は労働基準法違反となるものも多く含まれており、12月1日の団交で追及、(1)本来の業務、(2)常任委員会、部会が時間外になった時、(3)プロジェクト、病院機能評価審査、電子カルテ整備等、病院が主催する会、(4)新人の教育、患者カンファレンス、看護計画立案、サマリー作成、については、時間外手当の支給が明確にされた(但し、(2)と(3)は役職手当が支給されている職員を除く)。月一回の病棟会議も時間外扱いとなった(但し、1時間限度)。
 また、「サービス残業をなくす」ことについて労使が合意。「時間外労働に関する労使委員会」を設置、毎月第3火曜日、午後5時から1時間定期開催することになった。構成は、組合側が委員長、副委員長、書記長。経営側は事務副部長、人事課長補佐、看護副部長。
 「この委員会を、職場で残業が請求しやすい雰囲気づくりに活用したい」と笠原委員長。

「36協定」の状況確認 増員要求の根拠に
 要求が一歩前進した背景には、36協定に対するこれまでの労組の取り組みもある。労組は、15年前から36協定は2ヶ月毎の更新としている。2ヶ月毎に残業状況の提出を求め、ここで違反者が何人いるか把握する。これが「増員要求」の1つの根拠ともなり、一定の増員も実現してきた。「36協定を結ばない」という武器は、労組にとって有効なものなった。
 「36協定」更新時に経営側から出される時間外労働のデーターも「残業を請求した者」だけであり、実態はもっとひどい。今回の退勤時間調査でサービス残業が思った以上に多いこともわかった。調査結果は「労使委員会」でも問題にし、病院側も「参考資料にする」ことになった。

組合員拡大 要求実現の力に
 「組合ニュース」は週刊だ。役員が交代で朝ビラを配く。「組合員拡大は嬉しい。成果をみんなに知らせ、さらにみんなで組合員を増やし、切実な職場の増員要求を実現する力にしたい」と西尾書記長は言う。