「資質の向上検討会」報告書に対する
日本医労連の見解/全文

  1. 本日「准看護婦の資質の向上に関する検討会」(座長・松野かほる山梨県立看護大学長)は、地域医療の確保と看護の質の向上の観点から、准看護婦課程のカリキュラムと指定基準の改正について、以下の要旨の改善案をまとめた。
    • 准看護婦課程については、教育目標を「療養上の世話や診療の補助を、対象者の安楽を配慮し安全に実施することができる能力」及び「疾病をもった人々と家族の様々な考え方や人格を尊重し、倫理に基づいた看護が実践できる基礎的能力」を養うことにおき、新たに「看護と倫理」「患者の心理」「精神看護」などを養成カリキュラムに加え、1890時間に改正し、1学年1学級(40人以下)に5人以上の専任教員を配置する。
       また、看護婦2年課程のカリキュラムと指定基準の改正については、98年4月24日の検討会で以下の要旨の改善案をまとめ、本年4月1日より実施されている。
    • 看護婦2年課程については、看護職員の養成に関するカリキュラム等改善検討会の中間報告の提言(「准看護婦課程の学習を踏まえ、2年間の修業年限で看護婦3年課程カリキュラムと同じ到達レベルを目指す」等)を受けて、新たに「在宅看護論」、「精神看護学」などを養成カリキュラムに加え、2100時間(62単位)に改正し、1学年1学級(40人以下)に7人以上の専任教員を配置する。

  2. この報告は、21世紀に向けた准看護婦養成のあり方として、准看護婦問題調査検討会がまとめた提言(「現行の准看護婦養成課程の内容を看護婦養成課程の内容に達するまでに改善し、21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める」等)の具現化と受け止め、看護婦養成制度の統合に到る方策として評価したい。
     しかし、准看護婦課程のカリキュラムの検討経過において日本医師会等の一部委員が、他の多くの委員が支持した当初のカリキュラム改善案(1995時間)に強く抵抗し、社会的批判が高い就業を前提にした准看護婦養成制度に固執し続けたことは、看護婦養成制度統合の流れに逆行するものとして、厳しく批判されねばならない。

  3. この報告を受けて、国は速やかに准看護婦課程等の改善をはかるとともに、21世紀初頭の早い段階に、看護婦養成制度の統合を達成できるよう、具体的な施策を講じなければならない。
     日本医労連は、21世紀の看護婦養成の基礎教育は、高卒3年以上の学校教育法一条に基づく教育制度で行われるべきと考え、そのために准看護婦養成制度を廃止し、全ての准看護婦を看護婦に切り替え、看護制度の一本化の実現にむけて奮闘する決意である。

    1999年6月24日 日本医労連