1) |
まず、新定数配置基準により「薬剤師が削減された」と回答のあった職場では、「休憩時間が取りにくくなった」「有給休暇や宿直明けが取りにくくなった」「外来調剤と病棟兼務で残業や休日出勤がふえ、サービス残業がふえた」「薬剤師が削減され、助手がふえた」「業務が過密になり、対応に追われる」「入院処方箋がさばききれない。病棟業務が時間外にずれこむ」「かけもち病棟勤務になった。病棟活動の時間が減った」「仕事の質が低下した、患者の待ち時間がふえた」などの影響が拡大している。新定数配置基準が職場の実態に比べて低すぎることは明らかで、早急な改善が必要である。 |
2) |
このまま新配置基準を適用していけば人員削減が加速される。それにともなう薬の安全性確保や事故防止についての心配が多数の薬剤師から指摘されている。
その中で、新基準でも「心配ない」と答えた人も少数(8%)あり、その理由に「いまでも新基準の人数だから」「人数がふえても事故防止や安全確保につながるとは限らない」「職能意識や各自のレベル・姿勢がしっかりしていれば問題ない」などをあげているが、残りの92%の人は「心配」と答えた。
「心配」の理由としては、「安全確保と事故防止に重点を置かなければならないので他の業務が削減される」「病棟業務と調剤業務を兼務することになれば、そのいずれかにしわ寄せがくる」「薬剤師の数が減れば調剤過誤のおそれが増え、患者一人ひとりに対するサポートが不十分になる」「過密労働で事故を引き起こす可能性が心配される」「業務が多忙になり集中して仕事ができない」「日進月歩の薬の使い方について情報取得の余裕がない」「慎重に仕事を行っているが、時間的にも気持ち的にも余裕がなく、ミスをおかしてもおかしくない状況が生まれる」「利益の追求により薬剤の管理が不可能のため、安全性確保が難しくなる」「管理・チェックは人員がいてはじめてできること」「製剤業務(混注業務)や情報業務の人数が考慮されていないため実際の業務が手薄になっている」「正確を期すのは不可欠だが、さらに外来を待たせない、満足な説明なども必要で、この人数ではすべてが不十分」「完全院外処方になると薬剤師は半減されそうで、1人で100人近くの薬剤管理をすることになり、どう考えても人員不足である」「負担が増えると薬学を十分に生かせなくなる」「定員が減れば病棟でのルーチンワークは不可能。残業が増える」「注射薬の管理・払出し、副作用チェック、処方せんの内容チェック、DI(情報提供)、消毒製剤、服薬指導などにかけられる時間が大幅に減る」「病棟薬剤師の育成が不可能に。目先の仕事に流されてしまう」「余裕がなくなると医療事故が多くなると思う。安全性を考えた基準とは思えない」など、さまざまな角度からの意見が出されている。今回の配置基準見直し(削減)は現場の実態調査に基づかず、現場で苦労している病院薬剤師の意見を聞くことなく決められた基準であることから、こうした意見が出るのは当然である。早急に改善しなければならない。 |
3) |
日本病院薬剤師会と日本薬剤師会の共同要求を支持することに賛成の薬剤師が、回答者の67%を占め、また特定機能病院の定数基準を、そのまま一般病院をふくむ他の医療機関にも適用することを支持できるとする薬剤師が54%いた。このことは政府の定めた新基準が職場の薬剤師にとって、とうてい受け入れられない低い基準であることを示している。 |
4) |
基準の見直しについても積極的な提案があり、その内容を今後の運動に生かすことが重要になっている。
現実には、問題点をはらみながらも院外処方箋の発行はすすみ、医薬分業のさらなる進展が予想されるが、病院薬局が外来調剤と入院患者業務を並行して扱う状況が当分は続くことも間違いない。提案にある「病棟と外来調剤業務を分けてそれぞれに必要な人員の確保を」という意見は生かされるべきである。
定数基準を決める際には「調剤以外に注射、品質管理、治験、DI、製剤業務など業務の質と内容に応じた薬剤師数の付加基準を決める」ことも提起されている。 |
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具体的な薬剤師配置数に関して、調剤については「入院・外来処方せん枚数40枚に1人」、入院患者の服薬指導については、昨年の分科会では「患者25人に1人は必要」という意見があり、今回の調査でも「入院患者30人に1人とその端数を増すごとに1人」という提起がされている。 |