2001年4月11日・日本医労連中央執行委員会確認

 続発する医療事故に対して、現場では看護婦などの個人責任の追及が強められ、組織的な医療事故防止対策が遅れているのが実態です。警察による捜査も、その性格上、最終行為者の処罰が目的となっています。また、国や医療関係団体等から対策等が打ち出されていますが、最終的な対策は医療機関任せというのが実態です。
 医療事故防止のためには、個人責任の追及で終わらせず、事故が起きないシステムづくり、ミスが起きても重大事故につながらない対策が求められています。医療事故が国民的な課題となっている中で、国をあげて対策を抜本的に強化する必要性から、その責任を負う専門組織として、以下のように「医療事故防止委員会(仮称)」を提起し、国民的議論と具体化を呼びかけるものです。

1、公平性の保たれる独立した機関であること
 医療事故の続発と情報開示の遅れについて、患者・国民は医療機関や行政に対する不信感を増大させている。医療事故防止委員会(仮称)は、公平で客観的な判断がおこなえるよう、医療機関・団体や行政から独立した第三者機関として設置される必要がある。

2、総合的な専門性とともに国民性を持たせること
 医療・看護関係者だけでなく、ヒューマンファクターや心理学、人間工学などの研究者など、総合的な専門性を持った機関とする必要がある。同時に、公平性との関係でも、患者・市民代表などを加え、国民性を持った構成とすることが求められる。

3、調査と対策勧告の権限を持つ機関であること
 個別事故の原因究明とともに、医療事故防止のための調査・研究と教訓化を中心とした機関とする必要がある。そのためには、医療機関に事故報告を義務づけるとともに、定期的な調査をおこなう権限を付加する必要がある。
 同時に、調査・教訓化に基づいて、医療機関や行政、メーカー等への改善を勧告する権限を持たせる必要がある。

4、公開性が保障されること
 事故情報や教訓、対策を医療機関や国民に広く公表する公開性を持たせる必要がある。

5、常設機関として設置されること
 調査や勧告をおこない、それらの状況を検証していくため、常設機関として設置される必要がある。国に設置するとともに、きめ細かな対応のためには、出先機関を各都道府県に設置する必要がある。

以     上