アメリカでのテロに対する声明

いのちを守る医療労働者・医療労働組合として、アメリカ合衆国における同時多発テロを糾弾し、戦争と暴力による報復ではなく法にもとづく厳正な処罰を求め、日本政府の米国軍事報復支援、有事法制・憲法改悪の策動に断固反対する

2001年9月21日
 日本医療労働組合連合会
書記長 前川 昌人

 9月11日、アメリカ合衆国で発生した同時多発テロにより多数の生命が奪われた。犠牲者と家族の皆様に哀悼の意を表明し、アメリカ国民と労働者に対して心からお見舞い申しあげる。
 史上例を見ないこの蛮行は全世界を震撼させ、新たな国際紛争の拡大を危惧させるものとなった。いうまでもなく、このような卑劣で野蛮なテロ行為は、いかなる政治的理由や宗教的信条があろうとも許されるものではなく、厳しく糾弾されなければならない。世界各国は国連を中心に力を合わせ、テロ行為の真相を徹底的に究明し、法と理性にもとづき、テロ行為を厳正に断罪すべきである。そして、テロ行為を根絶するため、あらゆる努力をつくすべきである。
ブッシュ大統領は「テロは戦争行為、断固たる措置をとる」と軍事力による大規模な報復の準備を進めている。さらにこれを受けて小泉首相は、米国の姿勢を強く支持し、「憲法の枠内で最大限の努力を行なう」ことを表明し、20日には「医療、輸送・補給などの支援活動を実施する目的で、自衛隊を派遣するための所要の措置を早急に講ずる」などの方針を明らかにした。また、「テロ対策」と称して、自衛隊による在日米軍警備などを可能にする法改定を行なう方針を明らかにするとともに、有事立法の制定も日程にのぼらせようとしている。
テロ行為に対する軍事行動での報復は、けしてテロ行為を根絶するものとならないばかりか、新たなテロ行為と武力報復の悪循環をもたらすものである。
日本医労連は、日本政府が軍事報復の「医療、輸送・補給」などの支援をやめ、理性と法にもとづく解決を国際的に働きかけていくこと、また、憲法の平和原則を遵守し、自衛隊法の改定や有事立法制定などを行なわないように強く要請するものである。
日本医労連は、いのちを守る医療労働者・医療労働組合として、テロ根絶と戦争と暴力による報復をやめさせる国際世論を強める広範な労働組合・団体・国民と連帯し、この課題に全力を上げるものである。         

(以   上)