患者・国民に耐えがたい負担を押しつけ、国民の医療を受ける権利を空洞化させる
医療改悪法案の国会提出に抗議し、その撤回を求める
2002年 3月 1日
日本医療労働組合連合会


1. 小泉内閣は本日、臨時閣議において「健康保険法等の一部を改正する法律案」を決定し、国会に提出しました。この法律案は、@健保本人3割負担など患者・国民に耐えがたい負担を押しつけるとともに、A保険給付範囲の検討(縮小)など国民皆保険制度を空洞化させ、国民の医療を受ける権利を侵害する方向に抜本改悪をすすめようというものです。日本医労連は、国民各層から上がっている反対・不安の声を無視した医療大改悪法案の閣議決定・国会提出に断固抗議するとともに、その撤回を要求するものです。

2. 本法律案は第1に、健保本人3割負担や老人一部負担の1割化、賞与からも同一保険料徴収(政管健保は保険料8.2%へ引上げ)など、患者・国民に際限のない負担増、耐えがたい痛みを押しつける内容となっています。今日でも受診抑制が広がっていますが、この負担増が強行されれば、「金がなくて病院に行けない」という事態をいっそう深刻化させることは明らかです。特に今日の深刻な不況・失業増の下では、日本経済にも大打撃を与えるものです。日本医労連は何よりもまず、不必要な公共事業の見直しや高すぎる薬価の是正などによって財源を捻出し、患者・国民の負担増を止めて、誰もが安心して医療を受けられるようにすることを求めるものです。

3. 本法律案は第2に、政府・与党の合意を受けて、医療保険制度の抜本改悪の方向へ年限を限って踏み出すことを明記しました。医療保険制度の体系や政管健保、保険給付の内容及び範囲、社会保険庁の業務運営などが見直し項目として盛り込まれています。これらがめざす方向は、保険制度の一元化や給付範囲の縮小などによって、混合診療の導入や営利法人の参入など医療の営利化をすすめようというものです。国民皆保険制度を空洞化させ、国民のいのちと健康を守るべき医療を、営利企業による金儲けの場にしてしまいかねない危険なものです。国民の医療を受ける権利を侵害する本法律案に、日本医労連は断固反対するものです。

4. 本法案は第3に、社会保険病院のあり方や診療報酬体系なども見直すとしています。政府・自民党は、国立病院・療養所の統廃合に加え、社会保険病院だけでなく公的医療機関全体の縮小をいっきに推し進めようとしています。医療に対する公的な責任を大幅に後退させるものです。同時に、この間の診療報酬改定等でも、医療提供体制の淘汰・再編が色濃く打ち出されており、安全でゆきとどいた医療・看護の提供そのものが脅かされています。日本医労連は、医療の公共性を後退させ、患者・国民への医療内容を低下させるとともに、ひいては医療労働者にもいっそうの超過密労働を強いる方向が盛り込まれたことに強く抗議するものです。

5. 日本医労連はこの間、全国各地で医療関係団体や患者・国民との共同をひろげ、患者・国民負担の際限のない拡大に反対し、誰もが安心してかかれる医療制度の拡充を求めて運動を広げてきました。いっそう国民各層との共同で運動をひろげ、本大改悪法案を撤回・廃案に追い込むまでたたかいぬく決意を表明するものです。また、安全でゆきとどいた医療・看護をまもるため、職場・地域で患者・国民とともに活動を強化していくものです。
                          

以     上